このEliminatorはとてもいい印象の単車でした。
7.3馬力、車重132kg、よく粘る低回転型のエンジンは乗り易かったです。
燃費も良くて40km/L以上は伸び、また燃料タンクも13Lと見た目より容量が大きいので、その航続距離は驚異的でした。
外見も、紫がかった青の塗装が綺麗で、「小さい宝石」という趣がありました。
しかし肝心の近隣ツーリング?のほうは、あまり行かなかった。
走り始めてみると、奈良の幹線道路は交通の流れが大阪並みに速い一方で路肩は狭く、このため追い抜かれる宿命の125ccでは、幹線を走りづらかったのが主因です。
また初めての関西で、はじめの1年間は家族で観光するのに忙しくて、ツーリングまでは手が回らなかったこともあります。
休日に、買い物に使う程度の日々でした。(注)
ある日ふとひらめいたのです。
「こいつで教習所に通って、ここで中型自二免許を取得すればいいんだ。」と。
かくしてこのEliminatorは、西大寺自動車教習所の通いに使ったあとは、次の愛機の下取り車として引き取られてゆきました。
高い下取り価格が出て、嬉しかったものです。
1年間しか乗らず走行距離が少なかったこともありますが、単車が大排気量に偏りがちな首都圏と違って、奈良にはこういう小さい実用車にも、立派な需要があることが分かります。
(注)奈良の買い物事情をお話しします。
奈良は目的地まで近道を選ぶと、しだいに道路が狭くなって、悩まされる土地柄です。
県道でも2車線がいつの間にか交互通行に、しまいには軽自動車1台がぎりぎり通れる狭さになってしまいます。
奈良時代の牛車の幅が、きっと今の軽自動車と同じなんだろうな‥と思っていました。
そんな奈良ですから、小さな単車は便利なモビリティです。
左は納車したときの写真。
下は1年近く乗って、下取りに出すときの記念写真です。
いま探しても、観光地を背景にしたEliminatorの写真は一枚もありませんでした。
いかにツーリングをしなかったかが、よく分かります。
オプションで立派な荷台を付けました。
この荷台は、ディスカウントストアで缶ビールを箱買いするときに役立ちました。
このEliminatorは、このあと13年間も生産し続けて、2011年に退役。
大変な長寿モデルでした。
欧州では、自動車免許で125ccの単車まで乗れますので(日本は50ccまで)、国内メーカーは、125ccについては欧州での需要を当てにしていると聞いたことがあります。
それに欧州の人はそもそも無用な変化を嫌う傾向にあります。
Kawasaki社としても、コンスタントに売れていればモデルチェンジは必要なかったのでしょう。
なお以前のCBXもそうですが、Eliminatorもエンジン始動のキックペダルはなく、セルモーター仕様です。
このあとに続く愛機もすべてセルモーター仕様ですから、現時点で僕は「キックペダル未体験者」ですね。