ということで、歴代の愛機の説明を中心に、いままでの二輪生活〜Two-wheeled vehicle Life〜をお話しさせていただきました。
最後に単車に対する僕の思いをお話しさせていただきます。
単車は面白い。
自立できないモビリティ特有の、あの浮遊感と駆動感。
機械を自在にオペレートしてゆくときに感じる、ちょっと自慢めいた気持ち。
そして停止したときに湧き上がる、身体を使うもの共通の、ある種の達成感。
僕の人生はけっして洗練された幸福に満ちあふれたものではないけれど、だからといって精密機械のようにあくせく働いても、世の中の幸せを両手にすることもできないことを知っています。
ならば単車で旅に出るときには、思う存分に没頭したい。
そしてロバを木陰の杭に繋ぐとき、これまでの旅は深く脳裏に焼きついていることでしょう。
長らくお読みいただきありがとうございました。
その御礼にかえて、次の言葉をお贈りします。
これは自分のこれからに対しても、当てはめたい。
「曲がり角の先には、何があるかはわからない。
でもきっと、いいものにちがいない」
ルーシー・M・モンゴメリー (「赤毛のアン」より)
(2014年1月)
2013年、南信州のしらびそ峠で。
こうして見ると、NC700Xは意外に前のタイアが太いことが分かります。
HONDAドリーム店によると、タイア自体は一般的なサイズですが、前は1,300ccの前輪、後ろは400ccの後輪。
変則的な組み合わせとのことです。
いずれにせよタイア仕様からも、あくまでロードバイクであることが分かります。
NC700Xの数少ない不満は、やっぱり重いことです。
クラッチ付きで218kg、DCT(クラッチレス)で228kgですから、お世辞にも軽くはありません。
“量産車最小のビッグマシン”だったBuellと比べるのはかわいそうですが、帰宅して単車置き場に戻すたびに、「200kg超って、こういう重さだったんだぁ」と、ため息が出ます。
この重量ですから、秘境道でも無理はできません。
急勾配ではパーキングブレーキを引いてもその重量に耐え切れず、坂を落ちてきてしまいます。
心もとないこともしばしばです。
断崖絶壁での撮影も、以前よりは控えるようにしています。
ともあれ、こうして老馬去って駿馬来る。
この駿馬も、気持ちも新たに、旅に誘ってくれるでしょう。