泉質は微重曹の腐植泉。
お湯のなかには、湯の花にあたる黒い沈殿物が浮いています。
加温してありますが、けっこう熱くて僕好み。
肌あたりはさらりとしていて、わずかにきしきし感があります。
浴槽のなかで一人で屈伸運動などで遊んでいると、がやがやと話し声がして、次の入浴客が入ってきました。
ご近所さんとおぼしき、腰の曲がったおじいさん二人連れ。
釣り人とは思えませんので、近所の方が銭湯代わりにここを使っているのでしょう。
風呂あがりは、温浴感よりもさっぱり感のほうが強い。
これからの季節にぴったりの温泉です。
時刻は15:00、そろそろ帰りますか。
富津から君津に出て、館山自動車道にのることにしました。
あれだけ眩しかった空も、どんより曇ってきました。
君津では、桜咲く小道の前を通過。(下)
いい雰囲気ですね。
この小道はお寺の参道ではなく、農家の進入路のようです。
花は散り始めていて、春が足早に過ぎてゆくことを感じました。
君津ICからはアクアラインで横浜へ向かいます。
帰りの東京湾アクアブリッジは、風速9m!
しっかりバランスをとらないと、吹き飛ばされそう。
海底トンネルにとび込むと、思わず安堵のため息が出ました。
帰宅16:30、総走行257km。
春の房総は、追想の旅になりました。
(お土産)ピーナツ味噌
ご存じ千葉県民の心に響くソウルフード。
これはアクアラインの海ほたるで購入した、諏訪商店(市原市国分寺台中央7-16-2)の「昔ながらのピーナッツ味噌」
¥480-と手ごろな価格でした。
食べてみるとピーナッツ粒はぎっしり入っているものの、いまひとつ印象の薄い味。
なんでだろ?
しょっぱいからか…
いやいや家族からは甘いという意見もあり…
といいながら、あっというまに食べてしまいました。
この、あいまいな印象なのに、あっというまに食べてしまうところが、昔ながらの食卓の味なのかもしれません。
「つりと鉱泉 さゞ波館」 入浴料¥600-
千葉県富津市小久保2868
0439-65-3373 14:00〜
富津ICでおりると、海ぎわに。
この「さゞ波館」は創業80年を超える老舗の釣り宿で、午後には立ち寄り客も受け入れてくれます。
場所は富津漁港のひとつ南の大貫漁港。
街で一番の交差点を海に折れると、すぐ見つかりました。
古めかしい旅館の車回りに、愛機を駐車。
支度をしていると若旦那が出てきて、「温泉の入り口は、この隣です」と教えてくれました。
その入り口がまた年代もので、吉祥寺あたりの路地裏のスナックのようで、昭和にタイムスリップしたかのようです。
ブーツを脱いで入浴料を払うと、黒光りする廊下を抜けて浴室に向かいました。
館内はところどころ壁紙もはがれて、年季が入っています。
脱衣所はロッカーもなく、洗面所と木製の棚だけ。
釣り宿というよりも、銭湯といった風情ですな。
浴室は海に向かう日当たりのいい一角で、僕の好きな黒湯が、ジェットバスで泡を立てています。
お湯の色は黒というか、渋く淹れてしまった紅茶の色。
房総の黒湯を思いおこせば…
「静養園・琥珀湯」(2006年収録)=真っ黒
「亀山温泉ホテル」(2006年収録)=ワイン色
「勝沼つるんつるん温泉」(2010年収録)=コーラ色
そしてここは、渋く淹れてしまった紅茶色です。