(上)本館に向かいあう別館。
清流が小さな滝のように流れて、涼しげです。
(中)本館の玄関。
この本館も大浴場と同様に、「国登録有形文化財」に指定されています。
提灯と郵便ポストに、小さな屋根がしつらえているのが面白い。
帳場で入浴料¥1,000-を払うと、内部の見学もそこそこに、浴室に向かいます。
大浴場は、確かに鹿鳴館を思わせる見事な木造建築です。
行灯がぼんやりと照らす、薄暗い浴室。
中央の一段低いところに、いくつもの四角に切られた深い浴槽。
浴室だけは撮影禁止だったので、その姿はホームページでご覧いただくしかありませんが、まさに文化財そのものです。
四角く切られた浴槽のそれぞれに1〜2名、合計で16名ほどの中年男性が、黙って入浴しています。
カラン(洗い場)はないので簡単に下半身を清めると、僕も先客のお仲間に加わります。
お湯は透明でやや熱め。
お湯は注ぎ口からだけでなく、底に敷き詰められた石のあいだからも、ぽこぽこと湧き出ています。
泉質は、カルシウム・ナトリウム硫酸塩泉(石膏泉)。
わずかに硫黄の香りがして、さらりとした肌あたりです。
浴槽に渡された丸太に首をもたれて、天井の木組みを見上げます。
窓越しに見る、外の新緑が美しい。
愉悦のひととき。
他のお客さんも、たまたまグループ連れが居なかったせいもありますが、みんな黙ったまま。
荘厳な感じさえするこの雰囲気を、静かに楽しんでいます。
風呂あがりはさっぱり感が強く、身体が軽くなりました。
実はこの大浴場は男女混浴なのですが、この日は女性は入浴しておられませんでした。
身体や髪が洗いづらいから、女性には抵抗があるでしょうね。
それでも夜8時から10時は女性専用となっています。
こんな山奥で、夜に入浴する女性は宿泊客だけでしょうけれど。
駐車場で。(→)
駐車場のわきに流れる清流も、実にきれい。(↓)
いや〜 何とも贅沢な朝風呂でした。
この法師温泉、身体を洗いづらいのが難点ですが、湯量は豊富で新鮮なので、衛生面で気になることはありません。
また高い入浴料が幸いしてお客さんのマナーも良く、そういう点でも落ち着いてお湯の効能を味わうことができます。
何より文化財に入浴するというこの体験が素晴らしい。
旅の目的になり得る温泉。
文句なくお薦めです。