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 この「蝉の渓谷」は、以前から地図を見るたびに気になっていた場所です。
 「閑さや岩にしみ入る蝉の声(@松尾芭蕉)」という名句の発祥の地らしいのですが、現地の案内板を読んでも、そのあたりの詳細はわかりませんでした。
 名称の「蝉」は、「狭水(せみ)」の転訛といわれている、とは書いてありましたが…
 たしかに渓谷は、ご覧のとおり相当に狭い。

 吊り橋から真下を覗き込むと…
 おや?
 ノコギリで切断したとおぼしき朽木が、崖に渡してあります。(↓)
 誰かが行き来する目的で、こうしたのでしょうか…
 松尾芭蕉が、そんなインディ・ジョーンズみたいな真似をしたとは思えないし…
 ちなみに清流の水深は、上から見るかぎり腰ぐらいの深さです。
 濡れるのが平気ならば、朽木を使うよりは、歩いて渡ったほうが安全のように見えました。
 なお肝心のセミはどうかというと、アブラゼミとミンミンゼミが鳴いていましたが、蝉しぐれというほどの音量ではありません。
 そもそもセミは朝と夕方に鳴く昆虫なのですが、その点を差し引いてもやや拍子抜け。
 
 話は横道にそれますが、セミって世界的には、どのような位置づけの昆虫なんでしょうか。
 北米では13年ゼミとか17年ゼミとかの話は聞きますが、日本のミンミンゼミのように鳴き声で命名されている話は聞きません。
 ツクツクボウシなんて情緒たっぷりの名前は、日本だけなんでしょうね。 
 僕は、ツクツクボウシの鳴き声の最後の「ヴィオース」が、3回じゃなくて2回で終わると、何となく落ち着かない。(笑)  

 コンクリート橋のたもとに設けられた駐車場で記念撮影。
 「蝉の渓谷」は、名句の風情を感じるというより、奇岩の形状に面白さを感じる渓谷でした。
 ただこうして整備されているわりには、停車して観てゆくクルマはなく、皆さん走り過ぎてゆきます。
 僕は長年の探究心が満たされて満足だったのですが、冷静に考えれば、旅の目的地としてはちょっともの足りない景勝地でした。