箱根山一帯の諸温泉の総称を、箱根温泉といいます。
詳しくいえば、奈良時代の開湯という湯本温泉を始めとした、古くからの七湯(湯本、塔ノ沢、宮ノ下、堂ヶ島、底倉、木賀、芦之湯)
明治以降に開湯された五湯(仙石原、姥子、湯ノ花沢、小涌谷、強羅)
そして昭和以降に開湯された、比較的新しい五湯(太平台、宮城野、二ノ平、蛸川、芦ノ湖)
これらを合せて、「箱根十七湯」と言うそうです。
今回はその中の一つ、芦之湯温泉。
場所は、箱根に行ったことのある方は、思い当たるかもしれない。
小涌谷から国道1号線(東海道)を芦ノ湖に向かって坂を登ってゆき、
精進池の手前で、あたりは高原のようになります。
草原の一角に雑木林があって、林の奥に温泉街があることを示す看
板が立っているところです。
さっそく看板に誘われるままに、通路だか私道だか分からない道を分け入ってゆくと、左右に小さな集落と何軒かの古びた温泉旅館。
お世話になる「きのくにや」は、その何軒かの旅館のなかの一つだ。
創業は江戸時代という老舗で、芦之湯温泉のなかで珍しく、立ち寄り客(ただし12:30から数時間だけ)を受け入れています。
さて駐車場でお風呂の支度をしていると、後を追うように次から次へと自家用車が現れる。
ものの数分で、6台ほどの自家用車が到着。
皆さんご夫婦連れで、僕同様タオルを片手に、フロントにダッシュ。
12:30の解禁時刻を待っていたんでしょうね。
これには苦笑してしまいました。
昼ごはんは、箱根裏街道に面した定食屋にお世話になる。
ここは前の愛機Buellで箱根に来たとき… 6年ほど前になるだろうか、新規オープンをしている。
前を通りかかると、いつも駐車場が満車なので、気になっていたお店だ。
11:30の開店と同時に、ノレンをくぐる。
店内は広く、座敷と三和土がある。
古民家風にしつらえてあって、簡素で、でもなんとなく落ち着ける雰囲気が嬉しい。
特にあてもなかったので「本日のおまかせ重(¥1,000-)」を注文。
驚いたのはこのあとだ。
次々とお客さんが入ってくる。
観光客あり、背広姿あり、ジャンパー姿のエンジニアあり。
あっという間に、広い店内はほぼ満席だ。
窓から駐車場を覗くと、「箱根町」と車体に描かれた軽自動車が、苦労しながら建物わきに幅寄せしている。
地元役場の御用達、そんな定食屋だ。
「めし処 いなか家 大地」 0460-84-5585
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原75
この日の「おまかせ重」は、アジの姿フライ+豚肉とエリンギの炒め物+野菜シチュー+味噌汁。
画像ではわかり辛いが、重箱は深さがあって、ご飯は丼めしの量である。
炒め物はもう少し薄味のほうが好みだったが、それ以外はどれも家庭的なほっとする味だ。
しかしボリュームたっぷり。
こんな誉め方では不適当かもしれないが、飲んだ翌日の自宅の晩ご飯に、昨夜食べていないおかずと今晩のおかずと、二晩分を出されたような豪華さだ。
となりの卓を覗くと、背広姿のにいちゃんがから揚げ定食と格闘していたが、パーティプレートかと思うほどのから揚げの山だ。
食べ終わると、満腹とはこういうことかと実感する。
お店が繁盛している謎が解けました。
“観光客相手”の“観光地価格”のお店ではない。
そこが嬉しかった。
食後は、お楽しみの立ち寄り湯。
せっかくの大人の箱根旅であるから、温泉は欠かせない。
話しは横道にそれますが、箱根温泉と言っても、それは特定の温泉を指すわけではありません。