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 これが映画の撮影に使われた角間温泉の街角。
 この先にも民家がありますが、実質的にはここで行き止まり。
 愛機を駐めたところが共同の駐車場になっており、5台ほどが収容できますが、路線バスの転回所も兼ねているので注意が必要です。
 紅白の幕がかかっているのが、大湯。
 そして大湯を取り囲むように、5軒の温泉旅館が軒を並べています。
 人影はなく、しいんとして静か。
 素朴な、ひなびた山あいの温泉です。
 角間温泉の歴史は古く、蓮如上人の発見と伝えられており、また林芙美子、古川英治、横山大観など文化人の愛した温泉地でもあるそうです。
 映画でも外観が出てくる「越後屋」さんにお世話になることにしました。
信州角間温泉「越後屋」 入浴料¥500-
0269-33-3188
長野県下高井郡山ノ内町佐野2346-1
 ガラス戸を開けると、笑顔の女将と礼儀正しい青年が出迎えてくれました。
 女将「いまはお客さんがいないので、三つの浴室とも貸切りにしていただいていいですよ。札を『入浴中』になさってください」
 長い廊下の突き当りに、浴室が三つ。
 家族風呂、洋風、和風とでも言いましょうか。
 残念ながらいちいち衣服を着ないと行き来はできない。
 インターネットでも評判の、家族風呂を選びました。
 浴室は、タイルを敷き詰められた洋風。
 スノコ張りの脱衣スペースから一段下がったところが、洗い場と浴槽。
 浴槽のなかはベンチ状で、二人並んで腰をかけるようになっています。
 カエルの置物から、静かに源泉が注ぎ込まれている。
 透明なお湯は適温で、わずかに甘い匂いがします。
 泉質はナトリウム・塩化物硫酸温泉(弱食塩泉)で、肌あたりはさらりとしています。
 でも効能が優しく身体に入ってくる感じがたまらない。
 背もたれに身をもたせ足を伸ばせば、ちょうど向こうの縁に届く。
 首をうしろにあずけて、安楽椅子に座るのと同じ姿勢。
 静かです。
 耳に届くのは、ちょろちょろと注がれる源泉の音と、窓の外で鳴くコオロギの音色だけ。
 極上のくつろぎを得ることができました。
 風呂あがりの浴感は、身体が蘇ったような爽快感と、ぽかぽかとした安らぎ感とがあります。
 他の浴室は外から覗いただけですが、和風はありふれた檜風呂なのですが、洋風のほうは7〜8名が入ることができる大風呂で個性的。
 一面に張られた美しいタイルに眼を奪われます。
 明治時代にイタリアから取り寄せたタイルで、建築学的にも評価が高いそうで、これは一見の価値があります。
 もし家族風呂が貸切りのときは、この洋風風呂でも満足できそうです。
 結論です。
 映画では街角しか映らない角間温泉ですが、温泉自体もとても魅力的。
 日常の慌ただしさで疲れた心身が “リセット”されます。
 一人旅にも家族連れにも、それを目的としていればまさにうってつけの温泉です。