青い空と、白い雲。
そして、生命感あふれる森。
道幅は狭い。
対向車が軽トラックであれば悠々ですが、ミニバンが来るとお互い減速しないといけません。
勾配は緩やかです。
やがて森は鬱蒼とした、でも、どこか幻想的なものへと変化します。
道は、海原を思わせる草原帯の上を伸びてゆきます。
ガードレールはありません。
道から落ちないように注意して進みます。
「この感じは何かに似ているなぁ」と思って、はたと気づきました。
木道。
湿地帯を渡る木の遊歩道。
舗装という違いはありますが、木道を渡ってゆくわくわくした感じに似ています。
しかしそんな幻想的な区間も終わりを告げ、南アルプス特有の急勾配が始まります。
ここからは本当に険しかった。
まさに車両がでんぐり返るような急坂が続きます。
周囲は、まさに“昼なお暗い” 原生林。
サングラスを跳ね上げていないと、ひとつ先のカーヴもよく見えないほど薄暗い中を進みます。
いいかげん疲れてきたところで、急に開けた場所に出ました。
折草峠(900m)
良寛とよく比較されるという江戸中期の俳人・井上井月の碑が立つ。
ここを歌った句があるらしい。
標高はそれほど高いないせいか、けっこう暑い。
というか今まで暗い森を走り続けていたので、特に暑く感じます。
そして無事に峠に着いた安堵感で、暑い空気が蘇ってきた、そんな感じ。