幸運なことに、入浴客は僕ひとりでした。
 まずは河原を見下ろす露天風呂に。
 温度はやや温め。
 源泉の温度は49度だそうですから、ずいぶん温くしてある。
 ここ白根館は「七不思議の湯」と言われ、天候により色が透明、緑、白濁と変わるそうですが、この日は透明。
 よく見ると、お湯にはわずかに綿埃のような湯の花が漂っています。
 泉質は、含硫黄・ナトリウム・塩化物泉(低張性アルカリ高温泉)
 肌あたりはつるすべ感が強い、いわゆる“美人の湯”です。
 開放感がある露天風呂。
 この高台が、船のへさきのように河原に突き出たところなので、時おり微風が抜けて、心地よかった。
 しかし内風呂はもっと素晴らしかった。
 檜造りの内風呂は浴槽の中に仕切り板があって、左側から源泉が流し込まれています。
 ということで熱めの左側に。
 ここではお湯のつるすべ感がもっと強くて、「とろみがある」と表現できるほど。
 奥多摩の「もえぎの湯」くらいのとろとろ感です。
 おまけに温泉じたいの鮮度もひじょうに高い。 
 熱めにもかかわらず長湯ができるのも好印象で、じょろじょろと流し込まれる源泉の音を聞きながら、しばし恍惚としてしまいました。
 風呂あがりは、交感神経が刺激されたのか、しゃきっとした気分になりました。
 入る前は「以前の『奈良田の里温泉』のほうをお薦めすることになるだろうなぁ」と思っていましたが、良い意味で裏切られました。
 さすがに評判の秘湯、鮮度が違います。
 帰りは、もと来たフォッサマグナ(地溝帯)の道をたどって、山をおりました(下)
 総じて旅はリー・リトナーの旋律のように、うねりがあって、そして爽快なものでしたね。
 帰宅17:50、総走行420km。
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