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 木陰をのぞき込むと、滝がザアザアと音をたてています。
 なかなか見事な滝です。
 なおこの渓谷にはいくつかある滝を巡るハイキングコースがあるようですが、吊橋もいっぱい渡るらしく、上級者向けかもしれません。
 僕は愛機に戻ると、さらに奥へと向かいます。
 滝から先は、険しい秘境道。
 勾配のきついヘアピン・カーヴが続きます。
 やがて、十谷の集落に着きました。
 「集落は狭いので注意してください」と告知する看板が立っています。
 そして集落の中はほんとに狭い。
 加えて道自体がすさまじいほどの急勾配です。
 集落の中がつづら折りのカーブなんて、信州・遠山郷みたい。
 こう書くとさぞや寂しい集落と思われるかもしれませんが、住民の声も聞こえて明るくのどかな集落です。
 集落の入り口。
 単車と軽自動車がすれ違うのがやっとという狭さです
中央にあった火の見やぐらと祠
家並みはアンティーク
 バスの転回所で、ダボシャツ・ステテコ姿のおっちゃんに道を訊ねます。
おっちゃん「源氏の湯? もっと先だよ。道?そう!この狭い道を、まだまだ行くの」
 おっちゃんに御礼を言うと、さらに集落の果てまで進みます。
 その集落を抜けると、さらに道は険しくなります。
 周囲も原生林で、正真正銘の秘境道。
 ほんとにこんなに山奥に温泉があるのかな?
 気づかずにもう通り過ぎている?
 このまま行き止まりで進退きわまったらどうしよう…
 と、ドキドキして自分の臆病風と向き合う瞬間が、単車旅の醍醐味。
 これが無いとね、
 生きている実感がないんです。
 やっと温泉宿の門が見えました。
 山奥の一軒宿。
 国道の交差点からここまで、長かったなぁ。
 たった7kmの行程ですが、率直にそう感じました。 
 門をくぐると愛機を駐めて、宿で入浴料を支払います。