下り坂になって、やっと道巾が広くなる。
登ってきた観光客らしきクルマ(ドライバーは美女)とすれ違う。
いまごろ、あまりの道の狭さに顔が硬直しているだろうな… と思いながら、さらに道を下ってゆく。
沓掛温泉に到着する(下)
場所は塩田平、別所温泉の西に位置しており、旅館が3件しかない小さな温泉。
駐車場もちょうどグループ連れが発った直後で、がらがら。
沓掛温泉の歴史は古くて、平安時代、国司の滋野親王が目を患い入浴したところ完治したので、薬師堂を建立し温泉守護神を崇して開湯されたという。
「沓掛温泉・小倉乃湯」 入浴料 ¥200-
長野県小県郡青木村沓掛419-1 0268-49-1126
建物は、玄関の左右にウダツが据えられたネオ・ジャパネスク風。
温泉裏山の景観が京都の小倉山に似ているところから京都を偲んで名づけられたそうだが、本家の小倉山に行ったことのない僕には何とも言えない。
風呂あがりのおっちゃんがベンチに腰かけて、のぼせた顔でぐったりしている。
はて?この温泉は冷泉のはずだが? と、思いながら入館。
入浴料は¥200-で、霊泉寺温泉と一緒で安い。
受付のおかみさんと県道の話しをしたが、地元の人はさっきの県道を狭いと感じていないことに驚かされた。
おかみさん「それより、うちの温泉は冷たいほうと温かいほうがあるけど、冷たいほうでも長湯するとのぼせるのよ。注意してください」
浴室はタイル貼りで、浴槽は同じくタイル貼りのものが二つ。
そこに澄んだブルーのお湯がかけ流されている。
どこもぴかぴかに磨かれていて、驚くほど清潔な共同湯だ。
二つの浴槽を入り比べると、小さいほうが加温して適温。
大きいほうは冷泉、といっても「冷たい」というほどではなく、ぬるいといったところ。
先客は、大きい浴槽に2人。
2人とも目を閉じて瞑想にふけっている。
壁の表示を見ると、泉質はアルカリ性単純泉とアルカリ性単純硫黄泉と二種類。
大きくぬるい浴槽のほうがアルカリ性単純硫黄泉だと思うが、確信はない。
どっちの浴槽も、ごくわずかに甘いイオウの香りを感じる。
肌あたりはさらりとして、お湯の新鮮さというか効能を感じるもの。
僕にしてはけっこう長湯を楽しんだ。
風呂あがりは、おかみさんの話しどおりというか、しっかりと、のぼせる感じがある!
でもそよ風が、ほてった身体に気持ちいい!
熱い温泉が好きな僕でも、ここは満足した。
田沢温泉(有乳湯)や霊泉寺温泉のような隠れ家的な雰囲気はないけれど、熱い温泉が苦手な御仁には沓掛温泉のほうが気に入るでしょう。
暑いこれからがお薦めの温泉です。
建物のわきには洗い場(左)もあり、野菜洗いや洗車に利用できるそうです。