小谷温泉・雨飾高原露天風呂は、すぐに現れました。
緑鮮やかなブナやミズナラの木洩れ陽のなかで、岩風呂にじょろじょろと源泉がかけ流されています。
大変きれいに管理されていて、原生林の中でここだけは公園のような雰囲気です。
脱衣小屋のポストに寸志を投入すると(僕が投入したのは200円)、素っ裸になってお湯に浸かる。
ここの泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で、重曹の成分も濃いそうです。
お湯は鉄っぽい匂いがして、わずかに茶色の湯ノ花が漂っています。
源泉は53度というけれど、湯口から離れても46度くらいでしょうか、さすがに熱い!
またお湯自体に濃くとろりとした感触があります。
しかし柔らかい肌あたりのせいか、重曹泉のせいか、しばらく浸かっていると不思議に温く感じてきます。
これは今までの熱い温泉では味わえなかった独特の感触で、とても新鮮でした。
熱い温度にもかかわらず、長く浸かれる温泉です。
森林の中らしく虫(アブ)が多くて落ち着きませんでしたが、それでも比較的長湯をしました。
風呂あがりは身体が軽くなり、さすがに名湯という印象です。
露天風呂を発つと、今度はあの坂を下ります(右)。
下る際にも、険しさを再確認。
ここは以前に訪れた中房温泉やしらびそ峠、姨捨山、関田峠と並んで、屈指の難所でした。
でも、スリリングで面白かった。
こっちはおやじなんだから、“ダンディにスマートに”ではなく、見苦しくヒイヒイ言ってもがいていないと、単車で旅に出た意味がないものね。
「どっこい俺はまだ生きてるぞっ!」と叫びながら、国道に戻りました。
なお帰宅して小谷温泉を詳しく調べると、開湯は1555年と古く、武田家の家臣が開いたものらしい。
途中で一瞥した温泉街には老舗の旅館があって、江戸末期の建物が文化財指定されているそうだ。
そう聞くと、あれだけ手厳しいもてなし方を受けたのに、また行ってみたくなりました。
我ながら困ったもんであります。