分岐する場所で、懐かしさのあまり一時停止する。
 分岐の左側が、紅葉の名所・通仙峡の入り口トンネルです。
 このトンネルの先は渓谷で、もともと塩川ダム建設に伴う集落の交通のために建設された道だそうですが、その後の崩落があまりに激しくて、廃道。
 以来、紅葉の数日間だけ、山梨県北杜市が歩行者の通行を許可しているだけで、通常は通行止め。
 たしか僕が単車に乗り始めた年に通行止めになってしまって、紅葉をあきらめた記憶があります。
 後で廃道マニアの探検サイトを見たら、すさまじい荒れようで、渓谷の先は落石と土砂に埋もれていました。
 僕にとって通仙峡は、幻となった紅葉の名所。
 さて右側のスノーシェッドで温泉へと向かいます。
 9:40に「増富の湯」に到着。
 建物は山に囲まれた広い平地のど真ん中で、たいへん立派。
 中央が受付と脱衣所で、左が湯屋、右がお食事処。
 駐車場では、「ケロケロ」とカエルの鳴き声がにぎやかです。
 玄関で営業開始を待っていると、送迎バスが到着し、お客さんがどやどやと降りてきます。
 僕も並んで入館。
 皆さんわくわくと楽しそうな顔をしています。
 
 さいしょから感想を言ってしまうと、「増富の湯」は手軽に温泉治療というか、湯治を楽しむ立ち寄り湯です。
 小学校の体育館サイズの浴室に、大小いくつかの浴槽があって、中にいろいろな温度のラジウム・ゲルマニウム泉がかけ流されていて、自分が治したい目的別に浴槽に浸かる順序と入浴時間が表示されています。
 といっても、強制なものではなく各人自分勝手に入浴するもの。
 環境音楽がBGMで流れたりしていて、ヘルスセンターっぽい温泉です。
 僕はご飯がいっぱい食べられるようにと胃腸系を選び、35度浴槽に5分 →37度浴槽に5分 →42度浴槽に3分、これを数セットというプログラムにチャレンジしました。
 泉質は含炭酸・重曹食塩泉(高張性中性低温泉)で、ラジウムが含有。
 お湯は42度の浴槽以外はすべて濃いキナコのような色で、手を30cmも沈めればもう見えないくらい濃い。
 そして35度というから、当然のようにぬるい。
 肌あたりはキシキシ感があり、わずかに鉄っぽい匂いがします。
 35度の浴槽から37度の浴槽に移ると、暖かさにほっとする。
 皆さん円形の浴槽に首までお湯に浸かって、静かに瞑想にふけっている。
 さいごの42度の透明のお湯にはゲルマニウム鉱石の巨石が沈めてあって巨石に腰かけるのですが、表示ではゲルマニウムの効能が股間に伝わるそうで、確かに石の暖かさが股間に伝わってすごく快感でした(笑)。
 なお僕は2セットで風呂からあがりましたが、他のお客さんは何セットも繰り返して入浴していました。
風呂あがりは鉄っぽい匂いが肌に残るものの、肌がさらさらになって快適。
なんか良い恍惚感です。
このまま温泉のお食事処で昼ごはんをいただくことにしました。 
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「増富の湯」 入浴料¥820-
山梨県北杜市須玉町比志6438 0551-20-6500