このサイトは、バージェス頁岩登頂に挑戦した記録を残すために設定した専用オリジナルサイトです。
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カナダバージェス頁岩は、古生物学者、マニアにとって一度は行ってみたい場所。しかし、簡単には人を寄せ付けないところだけに、十分なる計画と準備が必要でした。日本で予約できるツアー会社もほとんどなく、その手配には苦労しましたが、アルク留学センター(旧アルク旅行事業部)が唯一その企画を実現させてくれたのでした。 平成16年8月、総勢11名で出発することになりました。 左上写真は、宿泊地のカナダのバンフから、バージェスへアプローチする起点のフィールドという町。ここで現地レンジャー氏とも合流。図鑑で化石について事前学習中です。 出発前のやや緊張した雰囲気。長丁場が待っています。すでに、「何があっても訴訟は起こさない」という誓約書にサインをすませています。る。ここから先は何があっても自己責任です。 とはいえ、まだ歩いていないのでみんな元気で余裕の表情。 10時間に及ぶハイキングが始まりました。最初がやや急坂で体力を温存しながら自分のペースでていくのがよいと思いました。足場はおおむねよく、歩きやすかったと言えます。それでも、トレッキングシューズは必須です。スティック(ポール)も使った人も多かったです。体力のある方ならなくても十分歩けますが、より安心感を得て、負担減に利用してみましたが、多少の効果が実感できました。 レンレンジャーのリチャード氏。現地レンジャーがいないと絶対に入れないトレイルです。 トレイルで植物や動物を見つけたときなど、適宜ガイドしてくれました。もちろん英語です。 登りが徐々にきつくなるのですが、時折見せてくれるきれいな植物たちが疲れをいやしてくれます。9時に歩き始めて、出発してまもなく12時。まだ目的地へは到達できません。 12時をすぎたところで、昼食をとることになりました。休憩時間は20分。どうも天候が不順で、遠くで雷雲が発生しているため、先を急ぐからです。 私たちはサンドイッチ用の食材を分担で運搬し、ここで作って食べました。山深いロッキーでサンドイッチを作ったのは今となればすごい思い出です。バター、ハム、チーズ、レタスをはさみ、各自で作りました。 昼食後、確かに天候が怪しくなってきました。森林限界線を越えて、狭いガレ場を進むことになります。左は斜面、右下は崖下、氷河が作った地形です。この先、あと2時間のぼり続けることになります。 バージェス頁岩に隣接するワプタ山。荒々しい姿に、多少の恐怖感さえもありました。 その一方で、あのふもとまで行くのだろうか?いやもっと先か、いよいよ近づいてきたという期待感もふくらんできます。 特に、このようなガレ場を通過する時は、まさに落石注意です。というより落石中です。石灰岩や泥岩ばかりです。ここからは化石は出てこないということでした。 後ろを振り返ると、こんなすごい景色が広がっています。氷河が削ったU字の谷です。遠くには、滝も流れ、その壮大なスケールは、とてもこの写真では表し切れません。 今自分たちがいる山と滝のある山はつながっていたのですが、氷河が削り、それぞれが独立したそうです。長時間のハイキングでもこうした景色を見ながらですから、あまり疲れを感じません。その分、遠大なる地球史を感じてしまいます。 まだまだ歩き続けます。しかし、そろそろ先が見えてきました。右の写真では、上の方に見えている露頭がバージェス頁岩です。 バージェス頁岩すなわちウオルコットの崖へ向けて最後の登りです。実はここが一番急な斜面できついところです。転落にも注意が必要です。 目的の地が近づいてきました。最後の登りです。下にはエメラルド湖が見え始め、最後の苦労を励ましてくれているようです。もちろん、バージェス頁岩付近から、きれいに見えます。本当にロッキーの中に入ってしまった自分を感じることができます。 そして、ついに到着です。最後は息を切らしながらでしたが、到達できました。これがバージェス頁岩です。大露頭です。感激です。岩をめくれば、化石が見つかります。化石が見つかるのですが、なかなか何の化石は特定はできません。もちろん、持ち出しも厳禁です。 このような露頭の中での化石観察会です。図鑑と化石を照らし合わせたり、説明を聞いたりと至福の時です。遠くの向こうにはバージェス山が見えています。ちなみに、バージェス頁岩があるのはフィールド山の中です。 なんと現地にこのような化石とその写真図が用意されていました。これらは鍵のかかった収納庫に納められ、レンジャー氏があけて取り出し、臨時博物館を用意してくれるのです。 ついに本物のアノマロカリスやウイワクシアなどの化石を見ることができました。しかも、本当のバージェス頁岩でです。この化石を求めて10年? (NHKで放送されたのが10年前だから) 三葉虫はわりあいよく出てきました。他も特定できないながらも、いろいろ出てきます。自分で化石を見つける楽しさは体験できます。しかし、ここでポツポツ、ゴロゴロと、きてしまいました。こうなると長居は禁物な状況です。これらの臨時博物館を撤収しなければ行けません。そこで、先に下山する部隊と、撤収サポート係に分かれて行動することにしました。 撤収サポートを担当した私は、役得でこんな記念写真を。 笑ってはいますが、うしろで鳴る雷が少々気になっています。 撤収を終えて下山に向かいましたが、雨足が速まってきました。 下山は、雨と雷でこのような格好になってしまいました。雨を避けるところはなく、レインウエアを着るにも一苦労でした。後は、雷が近づく恐怖をひしひしと感じながら、下山です。 こちらは、全員での記念撮影。全員が到達できて本当によかったです。みんなよくがんばりました。 無事下山をすると、こんな美しい滝が私たちを迎えてくれました。天候も回復し、見事な青空が広がってきました。喜びを表して互いに記念撮影。 下山したのは、5時30分。結局8時間30分ぐらいで往復できました。 特に帰りは、雨と雷から逃げるようにかなりのスピードで降りましたから。 おまけですが、翌日ロイヤルティレル博物館へ行ったら、日本製のアノマロカリスの模型が展示されていました。カナダの博物館で見た日本製品に感激。 まとめ 長年求めていた地に到達できた喜びは大きかったです。苦労して何かを手に入れた実感がありました。1つだけ残念だったのは、雷が近づき、バージェス頁岩で十分なる観察時間がとれなかったことです。約30分ぐらいしかいられなかったと思います。それでも、全員無事下山ができ、しかも、ホンモノに出会えたのですからよしとしましょう。ツアーの企画から半年もかかって到達し、大成功のツアーでした。私たちのツアーは、この前日にコロンビア大氷原やモレーン湖などのロッキーハイライト巡りをしていました。そして、バージェスの翌日はダイナソー州立公園やロイヤルティレル博物館を訪れました。カナダでの充実した日々でした。