そういえばあのラゲッジ・スペースには、カメラの三脚と雨具、そして一泊するときに携行する防犯ロックを収めています。 
 三脚がスグに取り出せるようになって、便利になりました。
 まさに最新技術が等身大の車体に宿っています。
 左右のツーリングバッグは専用品を新調し、ここに防寒具や着替え、救急セットなどを収めています。
 長距離ツーリングを考えて、シートも張り替え。
 これで自分好みの旅仕様、積載状態が活き活きとしたモビリティの完成です。
 高速走行は楽ですし、おまけにクラッチレスですから、出先で渋滞に遭っても疲れ知らず。
 そういうところは大人の単車です。
 前後輪連動のABS(アンチロック)ブレーキは、期待どおり。
 強く印象に残ったのは、とあるツーリングで往路の中央高速、八王子Jctの見通しの効かないカーヴをクルージング中での出来事です。
 急に前車が詰まって、周囲のクルマも僕も急制動!
 高速走行中ですから、さすがにドッキリ。
 でも愛機は何事もなかったかのように、ABSをググンッと蠕動させて、確実に減速しました。
 頼りがいのあるブレーキです。

 燃費が良いのも好印象です。
 DCTが積極的にギアを選んでくれることが効いているのでしょう、どんなにとばしても30km/Lは叩き出します。
 寒い季節は冷却効率が良くなることもあって、34km/Lなんてことも。
 燃料タンクは14Lと小ぶりですが、好燃費のおかげで400kmの航続距離が期待できます。
 おまけに指定はレギュラーガソリン。
 X-Eleven、Buell・XB-9Sと、ハイオクタン値のガソリンを
要求する機体が続いたので、レギュラーガソリンで済むのは
嬉しい。
 というわけで、NCはHONDAの持つ新技術を、実用性につぎ込んだ単車といえるでしょう。
 一般的に、Vehicleは実用性を追い求めすぎると、夢というかオーラがなくなってつまらなくなるものです。
 たとえばファミリー・カーでいえば、紙パックも立てられるドリンクホルダーとか、規格のティッシュ箱が収まるくぼみとか。
 こういう実用性は便利である反面、時として優れたモノに宿るはずの“神(オーラ)”を殺してしまいます。
 でもNCの持つ実用性は、そんなオーラの邪魔をしない、限界ぎりぎりのところだと感じました。
 ともかく試乗で納得できたので、HONDA直営ディーラーのホンダドリーム横浜都築店で、新車を購入しました。
 直営ディーラーなので、新車保証がプラス1年で3年保証。
 納車は3/29と決算月の月末ぎりぎりだったために、5万円値引きしてくれたのが嬉しかった。
何度となく登場する、いつもの韮崎のBack-Roadにて。
 
 さて、旅に出てまず印象的なのは、NCが予想以上に走ることです。
 669ccしかありませんから諦めもあったのですが、どうしてどうして大健闘。
 燃料タンクが後輪の上にあり、駆動輪に重さが掛かることも効いているのでしょう。
 排気量らしからぬ駆動力があります。
 たった50馬力しかないのに、低速域ではグンッと進んで、前車に突っ込みそうになるときもあります。 

 またクランク位相が270°のエンジンが、なかなか面白い。
 独特の鼓動感と駆動力。
 巡航している状態からアクセルグリップを開けてゆくと、馬がギャロップするような独特なテイストが楽しめます。
 特に顕著なのは4速の減速時に、前車との距離が空いてまた加速に転じる瞬間。
 そのときの鼓動は心地良く、甘やかなほど。
 こういう官能的な鼓動は、国産車には珍しい。
 ドルルッ!っと軽く機体を震わせてギャロップしてゆく姿は、愛情すら湧きます。
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今までの国産車にはないデザインで、気に入ってます。