このあとR433をとおって栂池高原に下りてみました。
 栂池高原は、嬬恋高原や開田高原のような、自然の姿のままの牧歌的な景色が続きます。 
 話は横道にそれますが、白馬はアルペンスキーが盛んなだけでなく、かつて海と山の物資交流の道として栄えた「塩の道・千国街道」が通るところでもあります。
 武田信玄が活躍した戦国時代、山国の松本にとって、塩は貴重な物資。
 日本海から塩を運んだこの街道は、「塩の道」と呼ばれました。
 この千国街道が、いまのR433にあたります。
 さてつづら折りで、「千国街道」の石碑を見つけました。(上)
 愛機を降りると、舗装道路の下に、古人が歩いた道を見つけました。
 かなりの急勾配です。
 道ばたの塚に、旅情をくすぐられます。(中)
 愛機に戻ってさらに下りてゆくと、唯一現存するという「牛方宿」が現れます。(下)
 牛方が、牛の世話をしながら一泊した宿です。
 当時、山坂の続く千国街道での物資の輸送は、歩荷か牛馬の背に頼るほかにすべはなかったそうです。
 平地では馬の方が早くても、坂道は、ひずめが割れていて踏ん張りの利く牛のほうが有利だったらしい。
 見晴らしのいい、南向きの斜面に建つ保存館でした。
 「牛方宿」を発つと、県道はさらに段々畑のあいだをくねくねと下ってゆきます。
 あまりの急勾配に、身体がつんのめるほどです。
 当時は、人も牛も、ほんとうに大変だっただろうなぁ。

 こうして千国街道を見学すると、もとの白馬に戻りました。
 お昼ごはんはまだですが、有名な白馬八方温泉に立ち寄ることにしました。
 温泉は、先ほどの猿倉登山口駐車場に向かう途中、R322沿いにあるのですぐ分かります。
 外見は休憩室だけが小屋で、本体には屋根もありません。
 蓼科の「石遊(いしやす)の湯」もキャンプ場のお風呂を立派にしたような建物でしたが、ここはキャンプ場のお風呂そのもの、という雰囲気。(笑)
 山小屋オヤジ風の管理人が出迎えてくれました。
 この山オヤジ、風呂あがりの新婚夫婦と談笑したあとだったので、たいへん機嫌がよろしい。
 「ここは奥深い沢だから人を刺すアブがいるからね。アブが中に入らないように、それだけは気をくださいね」と、僕にもやさしく声をかけてくれます。
 なるほど、脱衣所の入り口は、防虫ネットでガードされています。
 なかは木の塀で囲んだだけで、中央に巨石を配した露天風呂があります。
 頭のうえは防虫ネットで覆われていますが、ネットの色(銀色)のせいかとても明るく、その開放感は大自然のなかで素っ裸になるのと同じでした。
 
 ワイルドな温泉ながらも、洗い場やシャワーもあり、シャンプーの類も備えられていて、好印象です。
 お湯も良かった。
 泉質はアルカリ性単純泉で、無色無臭で熱め。
 加熱せずに源泉でこの熱さは素晴らしい。
 肌あたりはつるすべ感のある、いわゆる「美人の湯」ですが、お湯がとても新鮮です。
 川のせせらぎを聞きながらのひとときは最高。
 風呂あがりは身体の疲れがとれ、活性化する感じがあります。
 肌もしっとりします。
 なによりも、河原から吹くそよ風が身持ちいい。
 山の自然美に染まるようなこの立ち寄り湯、文句なくお薦めします。  
「おびなたの湯」 入浴料¥500-
北安曇郡白馬村北城9346-1 0261-72-3745
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⇒おびなたの湯は
 コチラ