ここが秋山郷。
 以前に奥志賀林道を走破したときに、眼下に広がる原生林‥
 あのときの原生林が、このあたりになります。(↑)
 360度、見わたす限り、山また山。
 自分の息と、愛機のエンジン音しか聞こえません。
 このあと、後ろに写っているカーヴを入ってゆきました。
 
 原生林を往きます。
 道路のわきに、氏名を記帳する「入山届」のスタンドが現れます。
 確かにこのあたりは、遭難しそうなほど山深い。
 平日ですから、道行く自動車もほとんど見かけません。
 僕もここでアクシデントに遭ったら、誰にも助けの声が届かないかもしれないなぁ‥
 と、久しぶりに胸が締めつけられるような、心細さを感じます。
 こういった気弱な自分との戦いが、また単車の一人旅の面白さなのですが。

 ふと顔を上げると、山が壁のようにそびえています。
 鳥甲山(2,037m)です。
 山肌、というか絶壁が、息を飲むほどです。
 岩肌が塊りになって、今にもこちらに落ちてきそうな、そんな錯覚を覚えます。
 しばらく時が経つのも忘れて、見つめてしまいました。
 
 
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