カーチェイスあり、お色気あり、銃撃ありの軽快なテンポの娯楽作品で、のちにわが国のアニメーション“「ルパン3世」との近似性”が話題になったものです。
 僕の若き頃の思い出のシネマ。
 で、思い出すのは、O・シャリフがひとり港のレストランで夕食を食べているところに、主人公ベルモンドが談判におしかけるのですが、O・シャリフが、シェフが切り分けた焼きたてのラザニアをベルモンドにも薦めて「アザド君(ベルモンドの役柄)、そう急かずに一緒に食べないか?ギリシャ料理は実に美味い。人生は美味しいものを楽しむべきだぞ?」と、ベルモンドをはぐらかす1シーン。
 このあじフライは、まさにO・シャリフの「人生は美味しいものを楽しむべきだぞ?」という一節を思い起こす逸品です。
 人生の楽しみは、美味しい黄金アジでお腹いっぱいになること。
 「さすけ食堂」は店内はカウンターと座敷しかないのが残念ですが、駐車場は広くて停め易い。
 朗らかなおかみさんが手際よく調理した、絶品のあじフライ。
 文句なくお薦めします。
2012年4月13日(金) 眩しいほど明るい曇り 気温21度

 横浜の自宅を8:00に発つと、おやじは房総半島に向かいます。
 海底トンネルの中は、2,000回転あたりで鼓動するVツインにまかせて流す。
 房総半島側に出てみると、風速なんとたったの1m!
 東京湾アクアブリッジの上で、これほど風が無いのも珍しい。
 館山自動車道に入っても無風で、じつに快適である。
 高速から見下ろすと、あたりは春の棚田。
 農家の庭先のこいのぼりも、この日はダランと元気がない。
 快適すぎて、ちょっと頭がぼんやりするほどの高速走行。

 10:40、高速をおりて鋸南(きょなん)の金谷港に向かう。(→)
 きょうの目的は、金谷「さすけ食堂」の黄金アジ。
 アジには回遊型と定着型(根付き)の2種類があるそうですが、定着型のキアジは小エビ、カニ等の甲殻類を食べるため、食味も違う。
 そのなかでも背が金色をしているのが黄金アジと呼ばれて、脂がのって、 味や香りが良いそうである。
 めざすお店は、金谷港のフェリー乗り場の入り口。
 お店が館山側を向いているので、今まで気づきませんでした。
房総鋸南
爛漫追想
 ノレンをくぐると、朗らかなおかみさんと従業員のおばちゃんが暖かく迎え入れてくれました。
 カウンターの一角に陣取ると、あじフライとたたきがセットになった「さすけ定食(¥1,500-)」をオーダーしました。
おかみさん「バイクはちょうどいい季節になりましたねぇ」
 話しながらも、おかみさんの手は優しくリズミカルに動いています。
 彼女の、ハミングするように楽しげに調理する姿が印象的でした。 
 しばらくすると、揚げたてのアジが出てきます。
 まずはレモンをぎゅっと絞って、あじフライをひと口。
 これは美味い!
 ふっくらと肉厚のフライは柔らかく、それでいて滋味豊か。
 食べ応えもじゅうぶんです。
 次は、さっきまでお魚の姿だったアジのたたきを。
 こちらも刻んだネギとシソのアクセントが効いて、素晴らしい。
 おかみさんが笑顔で「どぉ?おいしい?」って訊かれたことも気づかずに、こっちもハミングしながら食べていました。
 こうした逸品を食べてふと思い出すのは、仏映画ジャン・ポール・ベルモンドの「華麗なる大泥棒(1971年)」の1シーン。
 前置きが長くなりますが、地中海の街(撮影は主にコートダジュール)を舞台に展開する泥棒アクションもので、ベルモンド率いるエメラルド強盗団と、彼らを追跡して宝石を奪取しようと企むO・シャリフの悪徳警官が、熾烈な争奪戦を繰り広げるという筋書きでした。
kset02.gif
「さすけ食堂」
千葉県富津市金谷2193-5
0439-69-2123  火・水・木休み