やがて道は、遠くに山の頂を臨むようになります。
山梨県と長野県との境にそびえる、金峰山(2,599m)です。
この金峰山の山頂に向かってゆくようなワインディング・ロードを行きます。
実際は、金峰山の尾根づたいに3km離れたところが大弛峠なのですが、このワインディング・ロードは、まるで金峰山をめざしているようでした。
このあたりで標高2,000mくらいでしょうか。
向こうの長野県側から、どんどん雲が湧き上がっています。
さっきまであんなに晴れていたのに…
雲も厚みを増して、どんよりとした黒っぽい雲に変わってゆきます。
間もなく、見わたす限り曇り空になってしまいました。
←彼方の尾根を見ると、枯れ木なのか岩肌なのか、白いギザギザが原生林に混じっていて、秘境ムードたっぷり。
このあといくつかのカーヴを通過して、最後はあっけなく大弛峠に到着しました。
大弛峠は眺望の開けない、林を通過するだけの峠です。
道路の上に直接マーキングされた駐車スペースは、クルマでいっぱい。
そして県境を越えた長野県側は未舗装路、それもトレールバイクじゃないと走行できそうもないほどの凸凹道で、未舗装路というより完全なダート道です。
ダートに乗り入れないように手前でUターンすると、舗装路のなかで一番標高の高そうなあたりに、愛機を停めます。
ヘルメットを脱ぐと、すぐに空気が薄いことに気づきます。
やりました、標高2,360mを制覇!
車両が通行できる日本最高所の峠道を制覇したおやじ。(↓)
撮影を終えると、同じぐらいの年齢のおっちゃんに声をかけられます。
おっちゃん「一緒に『夢の庭園』に登らん?」
徒歩で15分ほどの展望台です。
革ジャン革パンですからと丁寧にお断りしました。
おっちゃんはここにビバーク(野営)して、あたり一帯を楽しむそうです。
僕「寒くないですか?」
おっちゃん「寒さを楽しみに来たんだろうが!(笑)」
おっちゃんとお別れして愛機に跨ったとたん、大粒の雨がざーっと降ってきました。
山の天気はこれだから困ります…
雨に降られながら、もと来た道を下ります。
図らずも新しいタイアのウェットグリップを実感することになりました。
雨は麓まで止むことはなく、ずぶ濡れになりました。
(本文続き)
けっして「雨乞いのポーズ」をとったつもりは無い。
あくまでこれは「バンザイ」である。