道はR499からR112へと変わり、勾配がきつくなってゆきます。
←そして現れた「牧」の分岐点。
 先に見えるゲートの向こうにY字路があり、左に入ると志賀高山温泉郷、右に入ると上信スカイラインを通って万座温泉へ出ます。

 迷わず上信スカイラインを選びます。
 もちろんこちらに目的の温泉があるからですが、上信スカイライン自体もお目当て。
 ここは変化に富んだカーヴと雄大な景色とが延々と続く、走りごたえのあるワインディング・ロード。
 僕の大好きな道なのです。
 雨が心配なこのコンディションで、ワインディングを楽しめるかな?
 でもここまで来たら、もう成り行きまかせ。
 上信スカイラインは、カラ松の深い森のなかを突き抜けてゆきます。(→)
 勾配がきついおかげで、ぐんぐん高度をかせぎます。
 路面はセミ・ウェット。
 つい先ほどまで、本降りの雨が降っていたことが分かります。
 ところどころで、水たまりを通過。
 タイアが滑らないように神経を使います。
 愛機のサイドバッグは、万一に備えてレインカバーを着けっぱなしなので、水ハネのドロで汚れる心配もありません。
 単車って“おソトで使うもの”なので、汚れたら洗えばいいだけなのですが、バッグ類は宿に持ち込むことになるので、汚れるとちょっと厄介。
 そこでこういう天気のときは、バッグ自体が防水でも、レインカバーがあると重宝します。

 湿った土の匂いが、ヘルメットのなかに届きます。
 雨上がりの空は、眩しいほどの陽射し。
 よしよし、幸先や好し、である。
 道は原生林のなかをくねってゆきます。
 路面はずいぶん乾いてきました。
 陽射しを浴びた路面からは、湯気が立ち上ります。
 濃密なアスファルトの匂いと、夏の空気の匂い。
 セミもいっせいに鳴き始める。

 こうして山を駆け抜けるわくわく感が素晴らしい。
 交通量が少ないのも、たまらない魅力。
 ヘルメットの風防をあげていたら、空中交尾していたアゲハチョウ2匹が、頬に激突!
 …けっこう痛い。
 サングラスが、鱗粉だらけです。
 これ以降は、空中の昆虫には用心して走りました。
 
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