展望台が現れます。
 場所は、上信スカイラインで唯一のつづら折りの箇所。
 標高1,100mくらいでしょうか。
 ひと息つくことにしました。
 
 ここで何やら立派な捕虫網を構えた、ポロシャツ姿の男性がいました。
 お歳は60代なかばでしょうか。
 道路わきには、その男性が乗ってきたとおぼしき長野ナンバーの中型セダン。
 どう見てもオトナの昆虫採集です。
 さっそく声をかけてみました。
 お伺いするとこの男性、シジミチョウを捕まえるために、街から登ってきたそうです。
 
僕「やっぱり三角缶(標本にするために、蝶をたたんでしまう三角形の缶)とかも持ってらしゃって?」
男性「ほら。(と、男性がシャツのすそをあげると、ズボンのベルトに三角缶)」
僕「昆虫採集、いいご趣味ですね」
男性「この歳で時間ができたから、また始めることにしてね。でもこれって、採集する場所を決めて、チョウ捕って、展翅板で標本にして、ラベル作って。タダで1日遊べますよ。(笑)」
 単車ツーリングもお金こそかかるけれど、天気予報調べて、走って、帰宅してツーリングレポート書いてと、共通点はある。
 と、ここに家族連れの西独セダンも到着しました。
 鎌倉ナンバーなので、夏休みの家族旅行でしょうね。
 ドライバーのご主人とまず交わす言葉は、「きょうは天気予報、外れましたね〜」
 ご主人によれば山からおりてきたそうで、上の志賀草津道路は、どしゃ降りでさっぱりだったとのこと。
僕「山はねえ、その時のタイミングですからね」
ご主人「これからはもう大丈夫だと思いますよ」
 そうであることを祈りましょう。
 西独セダンの車内から出てきた子供が、男性の捕虫網を見て、「僕も虫捕りしたい!」と大きな声で訴えていました。
 「虫捕りしたい!虫捕りしたい!」
 虫捕り男性が、この子の訴えを無視していたのが可笑しかった。

 展望台で何枚か写真を撮ると、西独セダンはここを発ってゆきます。
 虫捕り男性のほうも、蝶を何匹か捕ると、ここを発ってゆきました。
 まぶしい陽射しのなかに残ったのは、僕ひとり。
 ひとりになって落ち着いたところで、記念撮影。
 三脚を立てて、上信スカイラインのつづら折りを背景にして。
 上信スカイラインの、男性的なワイルドな雰囲気が伝わるでしょうか。

 ちょっと暑くなってきました。
 8月はこうでなくっちゃ。
 展望台を発つと、さらに上に登ってゆきます。
 
 
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