温泉街のあちらこちらに、小さなかわいい外湯があります。
そしてめざす大湯は、温泉街の突き当り。
湯屋建築の神社の地下部分が、入り口になっています。
隣りの旅館のご主人に入浴券を渡すと、鍵を開けてもらいました。
室内は脱衣所と浴室とが別れていて、意外に普通の造り。
浴室は床も浴槽もスノコ造りで、たいへん情緒があります。
といから流しこまれる源泉はコーンクリーム・スープを思わせる色で、画像以上に黄味がかった独特な乳白色。
泉質はナトリウム・塩化物硫酸塩泉と一般的なのですが、この色にはちょっと驚かされました。
イオウの甘い匂いに加えて、鉄分を感じる匂いもします。
浴槽は奥が熱めで、手前がぬるめ。
床のスノコにあぐらをかいて、常備している自分の石鹸で身体を清めると、まずはぬるめの浴槽に…
熱いっ!
草津温泉の「合わせ湯」の、二番めくらいの熱さ。
あまりの熱さに、いったん浴槽から上がります。
でも上がってみると、じわりとくる浴感が気持ちいいですね。
ということで、また浴槽に…
熱さになじんでくると、肌あたりはキシキシ感もつるすべ感もなく、柔らかい中にもサラサラする感触です。
お湯の新鮮さも印象的です。
しかし源泉のままで、この熱さは素晴らしい。
ぬるめの浴槽でこれですから、熱めにはとても入れません。
流し込まれている湯口を触ると、指がボイルされそうな熱さでした。
僕が浴槽から出たり入ったりを楽しんでいるあいだに、二人の男性がお湯の熱さに驚いて、短時間で出てゆきました。
風呂あがりは、身体がほぐれる素晴らしい浴感。
革ジャン革パン姿で、のんびり温泉街を散策します。
温泉饅頭のおかみさんに声をかけられて、名物の胡麻味噌餡の饅頭を(1個¥60-)いただきました。
僕「いいお湯でした。でも熱いですね」
おかみさん「毎日、温度は違うんですよ。でも熱いほうの浴槽には、地元の者でも入る者はいませんね。あの湯口でお湯を冷ましてはいるんですが、あの構造じゃあほとんど冷めてないですよねぇ(笑)」
ともあれ渋温泉、8年前の湯田中(安代)温泉同様、さすがに名湯と言われるだけのことはあります。
ぬるめのお湯にじっくり浸かりたい向きには合わないかもしれませんが、風呂あがりのあの身体のほぐれる浴感は、一度体験してほしい。
信州のClassicたる名湯、文句なくお薦めします。
渋・湯田中温泉を発つと、そのまま16:50には宿泊場所(信州中野にある「ルートイン中野」)に到着。
レインカバーを外してみると、期待どおり中のサイドバッグはきれいなままでした。
結局きょうは、この信州中野を起点に、反時計回りに志賀高原を一周したことになります。
総走行は、366km。
近所のコンビニエンスストアで晩ご飯と寝酒を仕入れると、部屋で明日のルートを検討。
男ひとり旅の、至福のひととき。
天気予報では、明日は雨になるようです。
ヘルメットの風防にはっ水スプレーを塗って、防水くつ下を準備して、あとは多めに寝酒を飲んで布団をひっかぶりました。
「渋温泉・大湯」
長野県下高井郡山ノ内町渋温泉
0269-33-2921