高貴な那須に浸る
2015年8月25日、26日(火、水)
曇り時々小雨 現地気温22度
はじめにお断りしておくと、今回は単車の旅ではありません。
家族とドライブ旅行の途中。
那須の大丸(おおまる)温泉旅館です。
場所は那須高原の一番上にあって、標高は1,300m。
県道17号線をロープウェイ乗り場の少し手前で、脇道に入ってゆきます。
那須に行ったことがある方なら、誰でも「あゝあの交差点の脇ね」と分かる、妙に広々とした交差点が目印の、大変分かり易いところです。
専用駐車場にクルマを駐めると(左)ここからは徒歩。
後ろからもぞろぞろと家族連れが登ってきます。
さすがに夏休み最中。
鬱蒼とした原生林のなかの、巨大な一軒宿。
建物は川をはさむように広がっていて、川の流れる音と川底から立ち上る湯気とが出迎えてくれます。
期待にわくわくします。
というのは、ここは温泉の川、湯の川の混浴の露天風呂が有名なのです。
館内は洗練されたデザインの、アジアン風。
いかにも高級旅館です。
フロントでは、男性にも女性にも「露天風呂はお入りになりますか?」と訊かれ、普通のタオルのほかに身体に巻く専用のタオルが貸し出されます。
まず大きなガラス窓が明るい内湯に。
内湯の洗い場で身体を清めると、腰に専用タオルを巻いて、他のお客さんと一緒に露天風呂に向かいます。
立派な内湯なのに、誰も見向きもしない(笑)
露天風呂は渓谷を思わせる造りで、温泉の川が三つの段に仕切ってあり、上段の岩風呂から音をたてて源泉が注がれ、中段、下段へとかけ流されています。
15名ほどの男女が入浴中でしたが、三つを合わせるとかなりの面積になるので、お互い離れていることができます。
お湯には流れもあるので、足の裏で川底の丸石を踏んでいると、まるで川の中にいるよう。
泉質はメタケイ酸を多く含む単純泉。
鉄分の含有もあるようで、岩もお湯に浸かる部分は錆鉄色に染まっています。
源泉は冷ましてから流しているようですが、いくつかのポイントに分けて注ぎ込まれるので、上段の岩風呂が一番熱いわけではありません。
お湯は無色透明で肌あたりはさらさらしていますが、メタケイ酸の効能か、肌の保湿力が高まるような印象があります。
ちなみに那須の御用邸にも、ここの源泉が引かれているそうです。
僕は、中段の岩風呂が気に入りました。
この中段は大岩で囲まれた滝つぼのようになっており、首まで浸かってお湯の音を聞いていると、自分がカジカガエルにでもなったような不思議な、そして安らかな気持ちになります。
温度も44度くらいでしょうか、一番好みでした。
風呂あがりは肌がしっとりとして快適ですが、温浴感は意外に早くさめる印象がありました。
ともあれ五感で愉しむ湯の川。
立ち寄り客を受け入れる高級旅館の館内に、温泉の川、なんて、そうざらにあるもんじゃありません。
旅の目的となり得る温泉で、文句なくお薦めします。
那須の三大温泉と言えば、北温泉旅館(2010年)、元湯・鹿の湯(2014年)、そしてこの大丸温泉旅館ですが、すべて攻略できました。
「奥那須温泉 大丸(おおまる)温泉旅館」 0287-76-3050
栃木県那須郡那須町湯本269 入浴料¥1,000-(タオル付)
(注)これは僕のクルマではありません。