9月26日日曜日、「チェーホフ的気分」の作家ユーリー・ブイチコフ氏が昴の稽古場に登場しました!
 この日は4時から劇団に有志参加の講演会が1時間程行われました。
 そこで作品の登場人物に関して、びっくりする情報が次々と飛び出し、出演者一同
「えっ〜!」の連発・・・
 例えばアヴィーロワ(日野さんの役)、リーカ(米倉紀之子ちゃん)、シャヴローワ(松谷彼哉ちゃん)は、翻訳されている資料だと、チェーホフと肉体関係はなかった、もしくは曖昧にしているものばかりなのですが、ブイチコフ氏はズバリ「肉体関係有り!」と明言。シャヴローワなんてチェーホフと出会った時は15歳ですよ!一体いつから・・・・?
 スヴォーリン(小山さん)は、「当時の大臣達を動かせる権力の持ち主」だったとか・・・
 そして私の演じるマリヤ(マーシャ)にも衝撃の事実が・・・!
 資料では「献身的、大人しい、控えめ、しっかり者」などと書かれている事が多いのです。(中には「気が強い」というのもありますが、著者がマリヤをどう見ているかに左右されてる感じがしました)兄に一生を捧げて結婚もしなかった女性・・・と思いきや、「30人位の求婚者がいた」とのこと!マリヤ、モテモテ・・・そして、有名な風景画家レヴィタンからのプロポーズのエピソードは、マリヤの自伝にもあり、今回の芝居にも出てくるのですが、レヴィタンは断られても何度もマリヤに迫り続け、しまいに「マリヤが靴でぶん殴った」というエピソードを聞いてびっくり・・・(レヴィタンは晩年病床で「僕が結婚するとしたらあなたとだけですよ」という言葉を残したとマリヤの自伝に書いてありました。偉いぞ、レヴィタン・・・)
<9月26日>
出演者とブイチコフさん。(左後 紀之子ちゃん、牛山さん、日野さん、小山さん、菊池さん、左前 私、通訳の中本さん、ブイチコフさん、彼哉ちゃん、相沢さん)
スタッフと (左後 演出助手の宮越嬢、新準劇の小島嬢、同じく三輪君、準劇の渡辺君、茂在嬢、左前 中本さん、演出の菊池氏、ブイチコフさん、美術の岡田志乃嬢、新準の柳沼君。)
 その後、ブイチコフさんの前で初めての通し稽古(本番と同じように全幕を続けてやる稽古です)。ちょっと緊張しました・・・
 実はこの戯曲、殆どト書き(人物の動きを示す記述)がないんです。今回菊池氏の演出でほぼ全幕全ての出演者が舞台上にいることになったのですが、自分の台詞が無い間何をしているかは、役者に任されています。役者陣はそれぞれキャラクターの性格と史実を合わせて自分なりに考えて段取りを決めているのですが、大変なのはスタッフです。台本に無い小道具が役者の要求でどんどん増えてくる・・・(ごめんね、私も一杯注文して)
 ブイチコフさんは要所要所で笑ってくれたり(!)感想を漏らしたりしていました。
 稽古終了後は各役に感想とヒントをくれ、「素晴らしい!!ぜひロシアに公演に来て欲しい!」と絶賛して下さいました。
 さて、その後、巣鴨の某飲み屋に移動。出演者と演出の菊池氏、制作の石井さんとでブイチコフさんを囲む会です。
 ロシア人はすごいパワーです。お店に入るなり、「飲み物は?」の問いかけに「ウォトカ」と答えるブイチコフさん、無いって、日本の居酒屋には・・・あわてて牛山さんが「芋焼酎」を頼んでくれ、ロックで飲むブイチコフさんは気に入った模様。
 ちなみにブイチコフさんは英語は余り通じなくて、ひたすらロシア語・・・でも人名や地名は日本語とほぼ同じ発音なので、そこだけは判りました。もちろん、中本先生が通訳して下さるのですが、熱が入ると通訳が入る隙も無いほどマシンガントーク!
ブイチコフさんの話を聞く小山さん、牛山さん、
菊池さん。
 ロシアではお酒の席で年長者が仕切って、一人ずつ挨拶をして、その後「〜に乾杯!」とやる風習があるそうで、我々もブイチコフさんの仕切りの元、挑戦しました。
 ロシア語で乾杯は「トーストゥ」、日本の居酒屋に「トーストゥ!」「ウラー!」の声が飛び交いました。
 ウォトカでこれをやったら、確実に酔いつぶれて意識不明になる・・・と思いました。(芋焼酎でも酔っ払いました。ブイチコフさんは全然平気なようでした)
 ロシア人は最もスキンシップを多くする国民なんだそうです。ブイチコフさんもそれに違わずハグやキスを日常的にされていました。(同性同士でもやってました)日本の男性が真似をしたら、即座にセクハラで訴えられるかも・・・
 最後にロシアの唄をアカペラで歌ってくださり、「ウラ〜!!」で乾杯しました。」
挨拶をする演出の菊池さん
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