ようやく幕が開きました!
 初日前日は猛烈な台風、その後は地震という波乱万丈な幕開けです。
 地震の方は本番終了後でしたので、楽屋で、地震嫌いの私と日野さんが悲鳴をあげる位で済んだのが幸いでした。
<10月24日>
チェーホフの机の上。ちゃんとリーカの紀之子ちゃんの写真が・・・薬瓶に入ってるのは薄めたコーヒー。
楽屋はこんな感じ。女性側は華やか。
舞台はこんな感じ。かわいいセットに皆感激。
牛山さん、怖いです・・・東屋の壊れた柱の間から覗くとこうなります。
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(今号は次ページがあります。)
 色々忙しくてすっかり稽古場日誌をサボってしまいました。
芝居の方は、毎日様々なハプニングは起こりますが、出演者一同楽しんでやっています。
 「ムズカシイ・・・」という感想と「面白い」というのと極端に好みが分かれるようです。
私マリヤに関しては「台詞が少ないですね・・・」というコメントと「大変でしょ〜!」というコメントを多く頂きます。後者のコメントは主に役者仲間が口にします。
 一同舞台上に出ずっぱりで、特に私はきっかけの出ハケが多く、又台詞を喋ってない時間が長いのですが、喋ってないからと言ってラクではないんです。寧ろその反対。
例え照明が当たっていない瞬間でも演技を続けていなくてはならず、「10年間」という芝居の中の歳月の流れも感じねばならず、しかも黙ったまま「兄チェーホフへの愛情と他の女性達への複雑な感情」を表現しなくてはならず・・・・「辛抱役は大変だけど演じ甲斐ある」と劇団の先輩にも言われました。いやいや、余りにも「台詞が少ない」事にがっかりして下さるお客様が多いので・・・オイシイ役なんですよ、マリヤって。大変ですけど。(大変そうに見えないかもしれませんが) 
 ですのでこれから観に来てくださる方に注目点を。いくつかのチェーホフの芝居の登場人物とマリヤをリンクさせているところがあるんです。
 1幕、ベンチでロシアそろばんを使って何やら計算をしているところ(喋っているチェーホフとリーカばかり見てると見逃します。)、これは「ワーニャ伯父さん」のラストのソーニャをイメージしています。ソーニャは主人公ワーニャの姪で、働き者で気立てがいいのですが不器量で、長年の片思いに敗れた後「仕方が無いわ、生きていかなければ・・・」という有名な台詞のシーンでそろばんを使っているのです。
(あ、本物のマリヤは美人ですよ)
 そして2幕で鍵束をベルトに吊るしますが、こちらは「桜の園」のワーリャのイメージ。
ワーリャは主人公ラネーフスカヤの養女で、家計を一手に担っていますが、桜の園が競売に掛けられ友人のロパーヒンがそれを競り落としたと聴いた瞬間、鍵束を床に投げつけるというシーンがあるんです。それをすっかりパクったのですが、後輩達に「桜の園ですね・・・」とすぐばれてしまいました。
 又劇中、「かもめ」の登場人物を演じる二重構造があるのですが、こちらはチェーホフ=トレープレフ、シャヴローワ=ニーナ、クニッペル=アルカージナ、マリヤ=ポリーナ、スヴォーリン=ドールンを演じています。2幕でもやはりチェーホフとシャヴローワが
「かもめ」の1シーンの台詞を喋ります。「かもめ」を読んでおいて下さると判りやすいです、はい。
 私以外の登場人物も、台詞が無い時も様々な事をやっていますので、喋っている人ばかり見ないで、ぜひ全体を見回してみてください。周囲の人物の反応を見ていると、結構エピソードの理解の助けになると思います。
私は髪をいじるのが大の苦手。しかし今回は仕方なくヘアスタイルの本を見ながら編みこみを練習しました。決定した髪型です。
衣装合わせの日。紀之子ちゃん(左)と彼哉ちゃん。
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