分布調査について
考古学入門V
いつの時代の、どのような内容の遺跡がどこにあるのかを、やみくもに掘りまくらない
でも、ある程度(かなりの精度を持ってと言ってもよい)確認できる方法がある。
これを「分布調査」と呼んでおり、考古学にとって欠くことのできない調査・研究方法
である。
私は、大学に入った一年生の時、上級生に連れられて分布調査に出掛け、朝から夕方薄
暗くなるまで山野を歩き回ったことがしばしばあった。
その時の必携は、2.5万分の1地形図、ポリ袋、カメラ、野帳等である。
その歩いている中でひろった土器・石器片等をポリ袋に入れ、地図に地点をマークする。
その時、上級生はひろった土器片について詳しく説明してくれる。
この採集地点に近いところの地表下に、採集した土器片の属する時代・時期の遺跡が
所在していることが予測される。
教室では得ることができない、非常に中身の濃い考古学講義の一コマだった。
考古学は、英語では「archacology」というが、われわれは、先輩から
「歩けおろじー」と教わり、ひたすら「歩け、歩け、歩け」と言われたものである。
この分布調査が最も有効な遺跡の種類の一つに「古墳」がある。
次にこのことについて詳しく見てみることにしたい。